3000キロまであと・・・2474.3キロ
それは突然私を襲った。
六本木を走っていた。
路駐のワンボックスカーを抜いた瞬間、体の左側を「ドスンッ」という衝撃。私は道路に叩きつけられた。
「!!??」
一体何が起こったのか、一瞬解らなかった。
起き上がって振り向いたら、そこにひとりのオトコが立っているのが目に入った。
オトコは「ダイジョウブですか!?」と慌てて叫んだ。
私は咄嗟に「ダイジョウブじゃない!!」と叫び返した。

状況は把握できた。
私の後方の横断歩道が青になっていた。
オトコは、図の青線の様に渡ろうと飛び出してきたのだ。
路駐のワンボックスカーのお陰で互いの存在を確認できなかった。
この辺りは路駐が多く、車の陰から人が飛び出してくるので要注意の場所である。
横断歩道のないところでも平気で道路を横切る人間が多い。
「コイツラ イチド ヒカレロ!」
以前から、そんな行動を取る奴等を腹立たしく思っていた。
自転車を起こすと、ミラーが折れている。
落ちたミラーを拾い、私はもう一度言う。
「これ、ダジョウブなんかじゃないですよね!」
オトコ「すみません!」
私「アンタみたいなのがいるから危険ナンだよ!!」
オトコ「スミマセン!」
私「’%&’()!”#$%&’!!(怒)」
オトコ「ハイ!」
私「‘{*>?《》*?>凸!!!!(怒)」
オトコ「スミマセン!!」
怒りに任せていたので、私は何を言ったのか覚えていないが、目の前のオトコはスッカリしょげかえっている。
とにかくここはしっかりお灸をすえてやらんとイカン。
年齢は30代前半といったところか、身なりはきちんとしたサラリーマン。背が高く、浅黒い肌、童顔。
大きな体は小さく縮こまり、小犬のような瞳はオドオドとして視線が定まらない。
オトコ「あの・・・怪我は・・・体はダイジョウブなんですか?」
見たところ悪い人ではなさそうだ。
ブロンプトンの傷ばかり気になって、自分の体のことなど気にもしてなかった。
コーデュロイのパンツのヒザがちょっと擦れているが、体はどこも痛くない。
私「体は頑丈だからダイジョウブなんだけどね。」
オトコ「お金で解決できるとは思っていませんが、壊れたものは弁償します・・・」
私も仕事の時間が気になるし、オトコも走って道路を横断しようとしたところをみると、急ぐ用事があるのかもしれない。
「この先、関わり合うのもお互い嫌だろうから、これだけ弁償してくれたらいいから。」と、ミラーの代金だけもらって、もう一度「ホントに気をつけなさいよ!安全確認!」とオトコに釘を刺し、その場を後にした。
先にも書いたが、この道は路駐が多く人や車が飛び出してくるのでスピードを殆んど出していなかったため、倒れても無傷で済んだが、これがかなりのスピードを出していたら、オトコも私も吹っ飛んだだろう。
このオトコがもし一瞬早く飛び出し私の前方に急に現れてぶつかっていたら、私が「前方不注意」で悪者になるところだった。冗談じゃない。
日頃、自動車には突っ込まれないように注意しよう、人にはぶつからない様に注意しようと思って運転はしているが、まさか人に激突されるとは思わなかった。
オトコはあの後、「ちっ、とんでもないババアに捕まっちまったぜ!面白くネエ!」と、舌打ちでもしていたかもしれない。
でも、今度道路を横断するときに「あ、またあんなことになったらカナワナイから、安全確認しよ~っと」と思ってくれたら、それでいい。
無残に折れたミラー。
装着期間11日。
走行距離 24.8キロ
走行時間 1時間46分
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